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金融レポートの示す地域金融機関を取り巻く現状

nattanan23 / Pixabay

これまでのビジネスモデルでの収益確保は厳しい

金融庁は平成29年10月25日、「平成28事務年度 金融レポート」を発表しました。
事業経営に密接な関係を持つ地域金融機関の融資スタンスを知るうえで有益なレポートです。

平成25年事務年度以降、金融庁は人口減少や低金利環境の継続による収益性への影響の試算を行ってきました。
「金融レポート」はその結果をまとめたものです。

環境変化が地域金融機関の収益性に与える影響
■収益性の低下
(金融緩和政策の継続で長短金利差縮小)
■貸出金や有価証券全体の利回りの低下
(金利の比較的高い既存貸出の返済・借換や保有債券の償還、低金利の新規貸出や債券に置き換わる)
■預貸率(貸出金/預金)の低下
(生産年齢人口の減少で借入需要低下し貸出残高減少、預金保有残高の多い高齢者割合の増加)

従来のビジネスモデル(信用力の高い先や担保・保証のある先への融資、国債への投資)では収益性を維持できなくなるというのです。

 

求められる持続可能なビジネスモデルの構築

人口減少や低金利といった環境変化の影響を受けて、地域金融機関には次のような動きがみられます。

足下の利益(当期純利益)を確保する動き
■有価証券運用による収益依存の高まり
(金利や経済環境の変化によるリスクの増大)
■貸出分野における量的拡大
(アパート・マンションなど不動産業向け融資増加)
■与信費用の減少
(貸倒引当金の戻入)

このような短期的な視野に立った対応ではなく、持続可能なビジネスモデル構築をレポートでは求めています。

 

事業性評価に対応した事業計画の作成を

持続可能なビジネスモデルとして、本業である金融仲介機能の質の向上を示しています。
具体的には担保や保証に依存しない、顧客の事業内容の評価に基づく融資スタイル(事業性評価)への転換です。

地域金融機関の融資スタイル転換に関連して、事業者も積極的に対応策を進めるべきでしょう。
自社の経営状況を把握し独自の事業計画を策定しておくと、事業性評価に取組む金融機関からは前向きな評価を得ることもできます。

有効な取り組みとして、わたしは「経営革新計画」や「早期経営改善計画」の作成をお薦めしています。
単に事業計画を作成するだけでなく、様ざまな優遇処置と都道府県からの承認というお墨付きを同時に受けられるからです。

 

編集後記

秋のお祭りシーズンになりました。

鉦や太鼓の音がするので外へ出てみると、「佐世保おくんち」のお神輿です。

風情を感じるひとコマでした。

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