開発型ベンチャー経営者の葛藤
中小機構の運営する技術系インキュベータ施設の記念事業に出席しました。
そこに参加されている皆さんのやり取りに接していると、技術者独特のある思考の特徴を感じます。
基調講演者は、TOTO顧問(前副社長)猿渡氏と三次元メディア社長(立命館大学教授)徐氏のお二人。
研究開発型の老舗企業と大学発ベンチャー企業の取組みを経営者の視点でお話しされました。
老舗とベンチャーの違いはあるものの、大きな課題は共通していました。
技術部門と営業部門の考え方の調整には常に葛藤を伴っているというものです。
老舗企業では調整の仕組みを確立させており、ベンチャー企業では経営者に判断の全ては委ねらます。
そのため両者の調整の課題は、ベンチャー企業では直面するリアルな課題となっていました。
技術者は「思考過程を可視化」しようとする
なるほどと思いながら講演を聞いていると、大学の研究者らしい方から質問がありました。
話し方はスマートなのに、発言内容は異常に長いのです。
「自分は何故このような質問をしているのか」について延々と語ってから質問されていました。
恐らく日常業務において、自分の行っている作業(実験)を常に可視化することを求められるのでしょう。
限られた時間の中のことなのに、質問は手みじかにという感覚はなかったようでした。
この様子から「自分の思考過程を可視化すること」は技術者に共通する特徴なのかと感じます。
仕事の内容を想像するならば当然のことと言えます。
こうしたことを含めて、技術部門と営業部門のそれぞれが一生懸命に取り組むほど溝は深くなるのでしょう。
迷ったときには「経営理念」に立ち返る
老舗企業とベンチャー企業に共通していることはもう一つありました。
2つの部門の考えを踏まえ経営部門で判断に迷うとき、よりどころになるもの。
それは全社に掲げている「経営理念」でした。
大きな組織であろうとも「経営理念」の重みは格別であることを再認識しました。
創業の想いを言葉に顕わしておくことは大事なことなのだと改めて感じます。
編集後記
実は自分の思考過程を長々と話す傾向があるみたいで、妻から時々苦情を言われます。
そして、さらに何故説明が長いのかという説明をするという悪循環。
自分のことは客観視できていないことを痛感しています。